Octopus's Garden

半歩先の生き方・働き方を考えるブログです。

法律専門家からみたライブドア事件(量刑について)

mori tower at roppongi hills, tokyo

あの堀江貴文さんが、今日収監されました。

昨日の深夜に更新された彼のブログにこれから2年以上は収監される予定と書かれていますね。

私の東京高等検察庁、出頭につきまして報告させていただきます。

 明日、2011年6月20日(月曜日)午後13時過ぎ、東京高等検察庁に出頭する予定となっています。現状ではこれから2年以上収監される予定です。

 この様子は、密着カメラにて『ニコニコ動画』の『ホリエモンチャンネル』で生放送したいと考えています。

 ~六本木で働いていた元社長のブログ「東京高等検察庁への出頭につきまして」

気づいたら、twitterのアイコンも変わっていましたね。

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ニュース動画はこちら

今日ホリエモンが着ていた奇妙なTシャツ。

Twitterで誰かにもらったらしいですが、

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長銀3100億円、山一證券2700億円、カネボウ800億円、日興コーディアル証券189億円、ヤオハン128億円、キャッツ60億円、ライブドア53億円

これは過去に日本の企業によって行われた粉飾の金額です。

これらのうち実刑判決が出されたのは、この中で粉飾金額が一番小さいライブドアの事例だけです。

判例時報」の2048号で京都大学教授の高山佳奈子という方がライブドア事件の量刑について書いた記事が興味深かったので、ここでちょっとだけ紹介しておきます。

まずは、事件のおさらい。

本件公訴事実は、証券取引法(現・金融商品取引法)の風説の流布および偽計使用の罪と、架空売上計上による虚偽有価証券報告書提出罪とにかかる二つである。

控訴審の判旨では、量刑について、

ディスクロージャー制度の信頼を損ね…」「その犯行動機も…殊更にスキームを巧妙、複雑化させたりしているのであって、悪質と言い得る。」「…社会一般に与えた衝撃にも無視し得ない物があるとうかがえ、結果は重大といってよい。」等々書かれているものの、

結局のところ、本件で重い刑が言い渡された最大の理由は、その社会的影響にあったと推察される。

と論じています。

高山教授は、犯罪の社会的影響を量刑上考慮することは、改正刑法草案48条2項にも掲げられており、理論的にも認められる事を認めた上で、

だが、そうだとしても、粉飾決算額が2けた違う上に巨額の違法配当が行われた山一證券事件との比較で、本件被告人に同等の刑を科す必要が合ったかはやはり疑問である。

と、その粉飾額と量刑とのバランスに疑問を呈しています(山一は元社長に対して、懲役3年、執行猶予5年)。

堀江さんも上告趣意書の中で、

山一證券事件は、平成7年~9年にわたり合計 約7428億円の粉飾決算事件であったが、東京高裁は、平成13年10月25日に元社長に対して、原審を破棄して懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡した。

日本債券信用銀行事件は平成10年の約1592億円の粉飾決算事件であったが、東京地方裁判所は、平成16年5月28日に、元会長に、「懲役1年4月、執行猶予3年」の判決を言い渡し、東京高等裁判所は、平成19年3月14日にこの結論を維持する判決を下した。

カネボウ事件は平成14年の粉飾決算事件であり、粉飾額は連結純利益で約58億円、連結純資産で約753億円に上ったが、東京地方裁判所は、平成18年3月27日に、元社長に対して、「懲役2年、執行猶予3年」の判決を言い渡した。

フットワークエクスプレス事件は、証券取引法違反(虚偽の有価証券報告書の提出)に問われた事件であるが、その粉飾金額は、経常利益で274億円、当期未処分利益で約1340億円にも上った。これについて、大阪地方裁判所は、平成14年10月8日に、元社長に対して、懲役2年、執行猶予3年の判決を言い渡した。

⑤ アイペック事件は、約80億円の粉飾決算事件であったが、東京高等裁判所は、平成15年11月18日に元社長に対して、懲役1年8月執行猶予4年の判決を言い渡した。

 仮に、本件が粉飾決算であったとしても、その総額は約53億円である。しかるに、7千数百億という、金額において、被告人の百数十倍に達する場合も含めて、すべて先例では執行猶予の判決が下されているのに、わずか53億円の、また1期限りの粉飾決算で、直ちに実刑に処するというのは、誰が見ても公平ではない。あまりにも、不公平であり、正義に反する、と言うべきである。

 ~六本木で働いていた元社長のブログ「上告趣意書の要旨

と書いています。こうしてみると、ライブドア事件だけ執行猶予のない実刑判決というのはバランスが悪いように見えますね。

そして、高山教授は最後にこのように締めくくっています。

本件についていえば、第一点においては、執行猶予付きの刑が相当であると考えられるし、第二点についても、他の共犯者に比して重すぎるきらいがある。少なくとも、このように重い刑を科すことが必要である理由は、第一審・控訴審のいずれにおいても十分に論じられていなかったように思われる。

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