Octopus's Garden

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日本のベンチャーに関する7つの誤解

Compass

先日も書きましたが、先週の土曜日(8月20日)に青山学院大学で行われた公認会計士磯崎哲也氏の講義に参加してきました。

インフォテリア株式会社代表取締役社長 / CEOの平野洋一郎さんが、青山学院大学大学院の「技術系ベンチャー経営の戦略と実践」という講座で教えていらっしゃるのですが、8月20日(土)16:20からの第1回の公開講座にゲスト講師としてお招きいただき、「これからのベンチャー経営とファイナンス」というテーマで話すことになりました。

 ~isologue「これからのベンチャー経営を語る熱い夏の講座(第1回)

講義の内容はファイナンスというよりは、ベンチャー企業を取り巻く昨今の状況に関するお話がメインとなっていました。

この講義を受けて、ベンチャーに関して、よく言われる種々の誤解があることに気づきました。

誤解1)今は景気が悪いから起業を行うべきではない。

一時期は上向いた国内景気も、リーマンショック以降右肩下がりで下がっていて、国内のベンチャーキャピタルが出資する企業数もその出資額もここ数年で最低の水準まで落ちてしまいました。

このような状況下でベンチャーを起業したところで、果たして資金調達はうまくいくのか?という疑問をお持ちの方も多いかと思います。

2010年3月期には、ついに投資する企業は1000社を切り、投資金額も1000億円を切ってしまいました。2011年3月期は、もっと落ち込んでいるかも知れません。

 「世界に冠たるベンチャー企業を作ってやるぞ!」という闘志に燃えている人は、この数字を見て、「えっ、もしかして今って、ベンチャーを起業するには向いてない時期なの?」と思われるかも知れません。

「私の事業には1000億円の資金が必要だ」という人は、確かに現状では、日本の中だけでその額の資金調達をするのは、ちょっと難しいかも知れないですね。

 しかし、あなたが欲しい資金が、例えば3000万円といった程度であれば、マクロの調達環境としては全く問題は無いわけです。なにせ、少なくなったとはいえ、資金は年間800億円も供給されているわけですから。

よっぽど大きな初期投資が必要な事業を行うので無い限り、マクロの環境はあまり関係無いのです。ベンチャーキャピタルが投資を行うかいなかはその事業が「イケてる」か「イケていない」かだけが問題となるのです。

誤解2)日本の風土・文化ではベンチャーを育てるベンチャーファイナンスは根付かない。

そもそも、日本と米国を比べた場合に、ベンチャーファインスの歴史が全然違うのです。日本は米国に比べて25年、つまり四半世紀ほど遅れていると言われています。

その根拠となるのが、証券ビックバンの時期です。米国の証券ビックバンは1975年頃、日本の証券ビックバンは1990年代後半です。証券ビックバンによって、新規上場のハードルが低下(それまでは、アーリーステージの投資は事実上存在しなかった)しました。米国ではその歴史がすでに35年ほどあるのに対して、日本は自由化後まだ10年程度しか立っていないのです。

シリコンバレーベンチャーファイナンスと日本のそれを対比させて考えるには、まず、日本と米国の金融の土壌の大きな違いに目を向けなければならない。米国では、今から約25年前の1975年5月1日の通称「メーデー」と呼ばれる改革によって、取引所と取引所外の市場が互いに競争すべきことが法律にうたわれ、株式の売買手数料が自由化された。英国も86年には自由化を行っている。しかし、日本ではこの証券市場の自由化が行われたのは、1999年10月である。つまり、日本の資本市場の本格的な改革はほぼ四半世紀の周回遅れで、つい最近スタートしたばかりなのである。

 ~isologue

日本のベンチャーファイナンスの歴史は英米のそれと比べてまだまだ浅く、証券自由化後、ベンチャーファイナンスの専門家がほとんどいない様な状態でした。しかしながら、この10年間でベンチャーファイナンスの専門家は確実に育ってきています。日本のベンチャーファイナンスが活発化するのはこれからではないでしょうか。

誤解3)ITはちゃんとした産業じゃない

こういった考えかたは論外だとは思いますが、わりと高齢のビジネスマンにはこういう考えをもった方がいらっしゃるようです。まあ、そういった技術に関する理解の無い方もいらっしゃるようです。

誤解4)ベンチャーとは中小企業のこと

ベンチャーとは、単に中小企業の事を指すわけではありません。むしろ、ベンチャーという言葉が内包する意味に規模の大小は関係ありません。ベンチャーとは「社会が必要としているイノベーションのうち、既存企業がやらない部分を担当する企業」と定義することが出来ます。ベンチャー企業は社会主義経済には存在し得ない存在です。社会主義経済ではそのような役割は国家が担当することになります。そういった意味で、ベンチャー企業とは市場主義経済そのものということが出来ます。

誤解5)日本では出る杭は打たれるからベンチャーが育たない

日本ではよく、「出る杭は打たれる」といいます。成功したIT企業のトップがある日突然マスコミからバッシングを受けるのはそういった日本の文化のせいだという話はよく耳にします。

そういった文化のせいでベンチャーが育たないという話もまたよく耳にします。

しかしちょっと待ってください。

ビル・ゲイツスティーブ・ジョブズはバッシングを受けていないでしょうか?出る杭を打たれていないでしょうか?

答えはNOです。彼らは一方で大きな賞賛を受けていますが、その成功をやっかむ人たちはたくさんいます。

日本の起業家で、彼らほどバッシングを受けている人はいません。日本には彼らほどの「出る杭」が現れていないというのが現状だと思います。

誤解6)ベンチャーの経営で失敗すると全てを失う

ベンチャー経営で失敗して会社をたたむことになったからといって全てを失うわけではありません。失敗したとしても、信用を失うような失敗をしない限り、その取り巻くコミュニティ内(同業者や取引先)での「信用」だけは残ります。コミュニティ内での「信用」さえ残っていれば、再就職もたやすくできるはずです。むしろ「失敗」するかしないかよりも、「失敗」の仕方が問題なのです。

誤解7)会社を倒産させると返済できない程の借金が残る

資金調達を基本的に株式で行い、借入の個人保証をしない、株式の買取保証をしない、などファイナンスの知識を正しく駆使すれば、たとえ会社を倒産させてしまったとしても、個人に莫大な額の借金が残るなどの「トンデモないこと」が起こるのを防ぐことが出来ます。そのためには、正しいファイナンスの知識を得たり、信頼できる専門家を見つけることが大事です。