Octopus's Garden

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オリンパス問題と監査の限界

オリンパス問題で、金融庁・会計士協会が本格的に調査に乗り出すようです。

日本公認会計士協会は9日、オリンパスの監査に問題がなかったか監査法人などの調査を行う方針を固めた。10日に予定している同協会の監査業務審査会で正式決定する。

 オリンパスが不透明な企業買収を行った前後は、あずさ監査法人新日本監査法人が監査を担当していた。

 調査では、監査の実施状況や決算などでの監査人の適正意見の表明が妥当だったかなどを調べる。

 問題が見つかった場合には、協会として業務停止などの懲戒処分を行う可能性もある。

 ~msn産経ニュース

オリンパス損失隠しが発覚したことで、日本企業の情報開示に対する不信感が国内外で広がっている。金融庁は、問題となった企業買収が行われた前後にオリンパスを監査していたあずさ監査法人新日本監査法人を調査する方針だ。長年にわたって不正経理を見抜けなかった経緯を調べた上で、行政処分を下す可能性がある。

 日本公認会計士協会も両監査法人の調査に乗り出す考えだ。 

 ~YAHOOニュース

ここ数日の報道の動きとして「監査法人の責任」というのが大きくクローズアップされてきている気がします。

有名ブロガーのちきりんさんはこの件に関して、twitterでこんな風におっしゃっています。

そういえば、オリンパスさんの監査法人とか監査役とかは、何かご意見おっしゃってんのかしら?財務諸表に適正印を押してきたんざんしょ?

この業界をあまり知らない人からすれば信じられないことかもしれませんが、監査人っていうのは、粉飾を見逃したとしても、必ずしも法的な責任を負うとは限らないんです。

なぜなら、適切に監査をしたとしても100%誤りを見つけられるとは限らなくて、法律上もそこまでのことが求められていないのです(とは言え、今回のケースは額が額なので最低でも過失責任が問われるはずです)。監査法人の「適性意見」というのは、監査をした結果、「100%正しいとは言い切れないけど概ねただしいはず。」と監査人が確信を持ったという意見表明なのです。

この100%正しいとは言い切れない原因として「監査の限界」って言われているものがあって、監査基準委員会報告書という報告書にはこんな風に書かれています。

財務諸表には経営者による見積りや判断に基づく情報が多く含まれていること、内部統制には状況によっては機能しないという限界があること、監査が原則として試査により実施されること、職業的専門家としての判断を多くの局面で要求されること等をいう。

平たくいえば、「財務諸表って作る人によって多少違いが出るもの」「不正しようとする人がいたり、思わぬエラーが出たりすると監査を受ける会社の内部統制が機能しなくなることがある」「サンプルをベースに監査をするから、サンプルから抜けたものからエラーが出ることがある」とかってことです。

実際、実務のなかで、時間的・経済的制約がある中で監査を行う以上、「100%正しい」と言い切ることはできません。

しかし、この「監査の限界」というのは監査法人にとって言い訳に使える言葉で、粉飾を見逃したとしても、「監査基準・法人のマニュアルで求められていることをやった。調書も揃っているじゃないか。だから我々には過失がない」という変な理屈に発展する危険性だってあるのです。そんなことをしていたら、監査法人はいよいよ世間から信用を失ってしまいますね。

ちきりんさんは、先程の発言に続けて、こうも言っています。

企業側が監査法人にいくらでも値下げを要求するのは、「だってあんたら、結局たいしたコトやってないじゃん(笑)」と見てるからだよね。「適正の判子押すだけなんだから、この値段は高すぎだろ」って思われてる。

もうホント、粉飾を見抜けない監査人なんて存在意義が無いんです。

カネボウ事件の時は、まだ受験生だったので、それ以前がどうだったのか実体験として知っているわけではありませんが、カネボウ事件以降、過度に金融庁の指導・検査を恐れてマニュアル偏重の監査になりましたが、この業界は実質面では何も進歩していないんじゃないかと思います。

以下の文はカネボウ事件に関与していた元公認会計士が逮捕された際に公認会計士協会から出された生命です。

本日、カネボウ(株)の監査を担当していた元公認会計士3名に対し、判決が言い渡されました。

粉飾事件への監査人の関り方は、監査人としての基本精神に抵触するものであり、決してあってはならない特異なケースであると認識しておりますが、今回の事件を教訓に今後の監査の充実強化につなげてゆくことが、この事件を単なる不幸な事件に終わらせることなく、今後に生かす道であると考えます。

現在、協会では、倫理規則とりわけ監査人の独立性の確保に関する規定の改訂、及び上場会社監査事務所の登録制の導入に向け具体案を公表し、本年中の会則規則変更を予定しております。これら、自主規制の強化策を早期に実行することに加え、市場関係者との更なる連携の下、より公正かつ透明性のある資本市場の実現に貢献してゆく所存です。

 ~日本公認会計士協会カネボウ事件に関して

カネボウ事件から7年たち、今再び同じような事件が明るみに出ました。

不正に対してどのように立ち向かうのか?

それは個々の会計士、監査法人の問題でもあると共に、業界全体で取り組んでいかなければいけない課題ですね。