Octopus's Garden

半歩先の生き方・働き方を考えるブログです。

公認会計士と税務・税法

Tax Books

先日、書いた「減税で会社の利益が減るという謎」で書いたように、どの会社でも、税率の引き下げが今年の決算の大きなトピックの一つになりそうですね。

私も税制改正の公布の直後からいろんな所で税効果会計やその開示についての相談を受けています。税効果会計自体は会計の分野ですし、それほど難しくないのですが、法人税法を中心にした租税法って普段接する機会が少ないということもあって苦手意識があります(会計士試験の試験範囲にも入っているので、ある程度の知識は持っているのですが)。

私と同じように租税法について苦手意識を持っている会計士って結構いるんじゃないかと思います。

最近読んだ「公認会計士 USCPAのための租税法」という本では、会計監査が業務の中心となっている会計士が税を理解するための出発点として、そのポイントを4つを挙げています。

1.新しい税の見方が必要なこと

2.会計監査人の「目線の問題点」

3.税理士の「目線」を共有すること

4.企業会計法人税法の似て非なる関係を十分に理解すること

1.新しい税の見方が必要なこと

公認会計士の多くは税法を簿記・会計の一部と考える傾向がありますが、この考え方は税法を理解する上では障害になります。緑茶と紅茶の関係のように、同じ原料を使っても製法が違えばできるモノは全く異なります。財務諸表と申告書は全く別の概念で作成された報告書であるという事を認識することが税法を理解する上での主発点になります。

2.会計監査人の「目線の問題点」

会計監査を行う際には、重要性の低い誤りについて決算修正仕訳については修正を不要と判断することが度々あります。しかし、税務業務で重要性の原則を安易に適用してしまうと企業に追徴税等の税務リスクに晒すことになってしまいます。このように重要性に関する考え方が会計監査人と税理士とで大きく異なっています。

その他、①税理士登録さえすれば税務を行えるわけではないこと②連結会計と連結納税は似て非なるモノであること③税法を理解していなければ税効果会計を理解したことにはならないこと④国際税務・組織再編税制についてのノウハウを有する税理士は非常に少ないこと⑤税務リスクは偶発債務・後発事象として具現化してくることを理解する必要があります。

3.税理士の「目線」を共有すること

例えば、企業が非常に複雑なスキームの取引を行う場合、そのように複雑化した理由は主に税金のポイントを加味したからという場合が多いです。こういう場合に会計監査人が税務上のポイントを理解していないと、取引についての正しい評価ができません。そのためには、①法人税額の算式「税額=(益金ー損金)×税率-税額控除」を理解すること②「課税繰延」を理解すること③モノの「取得費(basis)」を意識すること④「寄付金課税」への恐怖心をもつこと⑤税務当局の更生リスクを意識することなどが必要になります。

4.企業会計法人税法の似て非なる関係を十分に理解すること

法人税額の算定のための課税所得の計算は企業会計における純利益を基礎として計算されますが、企業会計における売上と法人税の益金、企業会計の仕入と法人税の損金の概念は似て非なる概念です。このように企業会計法人税法でやその基本概念が異なることを十分に意識する必要があります。そして、法人税法を理解するためには法人税法22条を理解することが必要となります。法人税法22条の読み方については、本書に非常にわかりやすい解説があります。

Taxes 2004

今回は、「公認会計士 USCPAのための租税法」という本のうち、第一章の「会計監査人が税を理解するための出発点」の内容を少しだけ紹介しましたが、本書では、 会計士が実務で遭遇するであろう税法について網羅しつつ、税効果会計、開示と言った税金に関する会計処理を解説しているので、税に関する会計についての理解について非常に有用な書籍です。 また、過年度遡及修正・IFRSに関する税務についても、非常にわかりやすい解説が入っています。

税金の知識に自信のない会計士(特に監査法人の若手スタッフ)には、まず本書を通読する事をオススメしたいです。本書に書かれていることを一通り理解できれば、同世代の会計士から一歩リードできるはずです。

また、国際税制・組織再編税制も含めて、税法について網羅的に取り扱っている書なので、来年修了考査を受験する方は一通り読んでおくと試験勉強が楽になること間違いなしです(筆者の村田先生は公認会計士の試験委員を経験されたこともある方です)。もちろん、公認会計士試験受験生にもオススメです。

公認会計士 USCPAのための租税法

公認会計士USCPAのための租税法

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著者:村田守弘
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