Octopus's Garden

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税率が下がると利益が減り、税率が上がると利益が増える不思議

 復興増税を一年前倒しで打ち切りにするかどうかを検討中だそうですね。減税は企業にとって、いいことなのですが、実は、減税をすると、企業の利益は一時的に減ってしまうのです。このからくりは、税効果会計という会計処理にあります。

税効果会計とは

 税効果会計を理解するには、まず、法人税の計算方法を理解しておく必要があります。

 法人税の計算は基本的には「課税所得×法人税率」です。課税所得は、会計上の利益をベースとして、税法で要求される様々な調整を行います。この「様々な調整」を行うために、「(会計上の利益)≠(課税所得)」となり、「(法人税額)≠(会計上の利益)×(税率)」とならなくなります。

 税効果会計は、会計上の利益に見合った税金費用が計上させるために、「企業会計」と「税務会計」を調整し、税金費用を適切に期間配分させる手続です。この時、両者の差異のうち、将来差異が解消されたときに、支払う税金を少なくする効果のある部分(これを将来減算一時差異といいいます)について「繰延税金資産*1」を計上します。「繰延税金資産」は将来税金の支払いを軽減させる役割を持った、一種の「クーポン」みたいなものです。

税率が変更となった場合どうなるか

 例えば、将来減算一時差異が1000あって、税率が40%ならば、クーポンの価値は400円あります。そのため、「繰延税金資産」を400円計上して、損益項目である「法人税等調整額」を400円貸方に計上します。損益を貸方に計上するとは、利益の計算上プラスになることを意味します。ところが、将来減税で30%になるとしたらどうでしょう?クーポンの価値は1,000円×30%で300円です。「繰延税金資産」は300円、「法人税等調整額」は300円です。減税で将来が税率が低くなるにも関わらず、当期の利益に対しては、400円と300円の差、100円マイナスの影響を与えています。逆に、税率が上がった場合には、企業の利益が増えることになります。

税率が上がった場合と下がった場合のシミュレーション

 来期の税率が上がった場合、下がった場合、そのままの場合を簡単な事例で見て行きましょう。

条件

  • 会計上の税金等調整前利益は10,000円
  • 当期の法人税率は40%
  • 将来一時差異は1,000円
  • 一時差異はすべて来期に解消するものとする

 

来期の税率

30%

40%

50%

①税金等調整前利益

10,000円

10,000円

10,000円

②課税所得      

11,000円

11,000円

11,000円

③法人税等     

4,400円

4,400円

4,400円

④法人税等調整額(貸方)

300円

400円

500円

税引後利益(①‐③+④)

5,900円

6,000円

6,100円

 

 やはり、税率が40%のままの場合に較べて、来期30%になる場合には利益は減り、来期50%となる場合には利益は増加しますね。

 税率が上がると利益が増えて、税率が下がると利益が減る。この理屈、理解していただけましたでしょうか?

*1:某経済新聞では「繰り延べ税金資産」と書いていますが、正しくは「繰延税金資産]ですので、お間違いなく