Octopus's Garden

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会計監査で不正を発見できない理由を考えてみた

 およそ十数年前までは、監査法人がメディアに登場することなどほとんどありませんでした。しかし、近年では、上場企業で不正が発覚すると、監査を行っていた監査法人はどうして不正を発見できなかったのか?監査法人はその責任を問われます。

 監査を行う会計士がなぜ不正を発見できないという問いに対する答えの一つに、公認会計士は、会計と監査の専門家であって、不正調査の専門家ではないということがあるかと思います。

会計監査と不正調査の違い

 会計監査の目的は、財務諸表に重要な誤りがあるかどうかについて意見を表明することにあります。一方で、不正調査の目的は不正の事実それ自体やその証拠を発見することにあります。両者の目的にはこのような違いがあるため、用いる手法も異なってきます。*1

監査人と不正調査のスキル

 会計監査に専門的なスキルが求められるのと同様に、不正調査にも専門的なスキルが求められます。そして、監査法人に所属する、公認会計士の多くは、不正調査のスキルを充分には有していないように思います。そのため、会計監査の過程で不正の兆候を識別したとしても、充分な検討を加える事ができず、結果として不正を見過ごしてしまうのです。

不正対応に関する課題

 では、監査法人に所属する会計士全員に不正調査のスキルを身につけさせるのは、相当に困難です。なぜなら、不正調査のスキルは座学で身につくものではなく、経験がものをいう世界だからです。現実的には、不正調査の専門家との連携を強化するという方向性になるのだと思います。

 ただ、少なくとも、これからの時代の会計士には不正調査に関する基本的な知識が必要になってくると思います。また、監査法人の中で、不正調査の専門家を育てていく必要があるのだと思います。

企業不正の調査実務

企業不正の調査実務

 

 

*1:会計監査では、「リスクアプローチ」という手法が用いられるのに対し、不正調査においては、「仮説検証アプローチ」という手法が有効とされています。これらの違いについては後日、解説します