Octopus's Garden

半歩先の生き方・働き方を考えるブログです。

日本交通技術の不正リベート問題と、海外展開する企業の収賄問題

http://www.flickr.com/photos/23905174@N00/2438005410

photo by Don Hankins

 昨日、ODA(政府開発援助)の事業をめぐる不正リベート提供疑惑のあった、日本交通技術(JTC)の第三者委員会の調査報告書が出ていました。100ページ弱の報告書ですが、日本企業の海外進出について、いろいろと考えさせられるところの多い報告書でした。
JTC 日本交通技術株式会社

 

 

 

事件の概要 

 調査報告書によると、JTCによるリベート提供は1990年台から始まり、2009年から2014年にかけて総額約1億4,000万円がベトナムインドネシアウズベキスタンの3カ国の政府関係者ら13人に提供されていたようです。リベート提供が1990年代から始まっているのに、公表されている金額が2009年からのものなのは、調査委員会での調査の対象が直近5年間のみだからです。

 調査報告書を読むと、JTC側は積極的にリベートの提供を行ったのではなく、むしろ、相手側から、強く要求され、仕方なく提供していたようです。とはいえ、このような圧力に屈せざるを得なかったJTCの落ち度は大きく、この点について調査報告書では、

JTCはリスクある新興国に「バスに乗り遅れるな」とばかりにリスク管理不在の徒手空拳で進出し、身の丈の合わない事業に突進した。その意味で、腐敗した相手方政府関係者に目を付けられて食い物にされた本件は、企業として合理性を持たない行動により自ら招いたものといえる

とJTCの体制を痛烈に批判しています。

事件の根底にある闇

とはいえ、ある社員が証言する通り、

取引先に事情を説明したところ、JTCは下手ですね。現地法人を作ってリベートを提供していなかったのですね。JTCのようにやっていたら、他の会社も全部捕まってしまうでしょうといったことを言われたことがある。

   リベートの提供は、何もJTCだけがやっているわけではなく、他にも多数の会社で行われている可能性が大いにあります。

   一部の人間が絶大な権力を持つ途上国。その権力を利用した不当な要求。この事件の根本にある闇は、根深く、容易に変えられるものではありません。

調査委員会からの提言

 調査委員は、この点に関して、過去、総会屋の暗躍が横行していた頃、警察が、総会屋との過去の癒着を申告して関係を清算した企業については摘発はしないことを明言し、企業による関係清算を全面的に支援した事を引き合いに出し、

「過去との断絶」に苦しんでいる企業が多いであろうという現実を考えると、一定の期間を定めて、「過去は問わないので、情報提供を求める」という、ある種の徳政令、リーニエンシー的な対応を政府主導で実行することも真剣に検討されてよい。

とかなり踏み込んだ提案を行っています。

事件の影響

 調査委員が書いているように、同じようにこの問題に苦しんでいる企業は多いのでしょう。この事件の余波は、海外に進出している日本中の企業に広がりそうです。

 

⬇︎海外事業の収賄に関する、具体的な調査手法も紹介されています。また、執筆メンバーのうち3人が、今回の調査委員になを連ねています。

 

 

 

企業不正の調査実務

企業不正の調査実務