Octopus's Garden

半歩先の生き方・働き方を考えるブログです。

人が不正を行う3つの理由

http://www.flickr.com/photos/44442915@N00/4667535253

photo by gfpeck

不正のトライアングル理論 

 不正の発生原因は、米国の組織犯罪研究者ドナルド・R・クレッシーが体系化した「不正のトライアングル理論」により整理することができます。

 不正のトライアングル理論では、①不正を行う動機、②不正を行う機会、③不正を行うことへの正当化の3つの要因が揃った時に人は不正を行うとしています。

日本交通技術における不正のトライアングル

日本交通技術の不正リベート問題と、海外展開する企業の収賄問題 - Octopus's Garden

 

 

 

 先日このブログでも紹介した日本交通技術(以下JIT)の不正リベート問題に関する調査報告書でも、今回の不正の原因を不正のトライアングルに沿って報告しています。

動機

 リベート提供が行われた国際部では、海外案件の受注の獲得を行うためには、リベートの支払いもやむなしという認識があり、それがリベートの支払いを行う動機となったようです。

受注高の大きい海外案件については、案件形成から受注にいたるまでの間、相当の金額を先行投資することになる。この先行投資が案件受注に結びつかないと、国際部の部門業績が悪化する。

(調査報告書より)

 機会

 本来は、各部門における経費支出の実在性や妥当性を検証する存在である経理部門が、リベート資金の捻出を長期間発見出来ず。さらに、不正リベートが発覚した後はリベート資金の捻出に強力を行っています。このような経理課の状況が国際部にリベート提供の機会を与えたのです。

正当化

 調査報告書では、正当化の根拠として、①海外案件の受注拡大という経営方針②被害者意識③事務経費の3つをあげています。

 リベートの関与者たちは、一様に、「海外案件の受注拡大」という経営方針を達成するために、「リベートを提供しなければ案件を獲得できない」「リベートを拒否すれば失注するばかりでなく、次からの案件を受注できなくなる」といった強迫観念にとらわれていました。この強迫観念が自らの行為の正当化につながったのです。

 また、不当なリベートを要求されている自分たちは、あくまで被害者という意識が当事者たちに少なからずあり、自らの行為の正当化をしました。

 一方で、②とは逆に、相手国から要求される名目は「事務経費」であり、リベートの受領者はそれをポケットに入れるのではなく、あくまで会議費であり、受領者が私服を肥やしているのではない、という正当化を試みる関与者もいました。

不正のトライアングルは根絶できるか?

 一般的に、不正を行う動機、機会、正当化はどこの会社でも存在しうるものです。 企業がとりうる不正防止の策としては、

①非現実的な業績目標を立てることをやめ、不正が行われる動機を軽減し、

②内部牽制の体制を強化することで不正の機会を極力減らすことに取り組み、

③経営トップが、不正に関与してはならない旨のメッセージを社内に繰り返し発信し続けることで、不正の正当化を避ける

などが考えられます。

 不正というのは、それが発覚した時、不正への関与者、不正が行われた企業に大きなダメージを与えます。会社、そして従業員を守るためにも、経営者は不正防止の為に力を注ぐ義務があります。

 JITの調査報告書は、事件の概要からその原因、対応策に至るまで、非常によくまとまっていて、不正はなぜ起きるのか?どうしたら防止できるのか?について、いろいろと考えさせられるものでした。

 

企業不正の調査実務

企業不正の調査実務

 
財務捜査官が見た 不正の現場 (NHK出版新書 428)

財務捜査官が見た 不正の現場 (NHK出版新書 428)