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廃炉原発に資産性はあるか?

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photo by lonelysherpa

 今月発売の「会計人コース」6月号掲載の「経済ニュースを読み解く会計 ▼原発廃炉に係る会計処理ってどうなっているの?」という記事によると、経済産業省廃炉にした原子炉の会計処理を変更することを検討しているようです。

 変更を検討しているのは、原子力発電施設の廃炉に係る費用を毎期積み立てていく「原子力発電施設解体引当金」と、運転を停止した後の原子力発電所減価償却方法ですが、今回は原発減価償却方法について考えてみます。

 この会計処理の変更を検討している、経済産業省内のワーキング・グループの「原子力発電所廃炉に係る料金・会計制度の検証」という検討資料によると、従来までの会計処理は、

  •  建設段階:設備の取得に応じて建設仮勘定に計上し、竣工後は電気事業固定資産(原子力発電設備)に振り替える。 
  • 運転段階:定率法で減価償却を行う(主な設備の耐用年数は 15 年)。 運転中に追加・更新投資を行った場合、建設段階と同様に、建設仮勘定に計上し、竣工後に電気事業固定資産(原子力発電設備)に振り替える。 
  • 廃止措置段階:残存簿価を一括費用計上する。 

 と、通常の固定資産とほぼ同様の減価償却方法ですが、このワーキンググループの討議では、

原子力を利用して電気の供給を行うに当たっては、運転終了後も長期にわたる廃止措置が着実に行われることが大前提であり、原子力発電の特殊性として、廃止措置を完遂するまでが電気事業の一環であること 

 という理屈で、廃炉にした後も減価償却を続けるべきだと結論づけています。

 これは、運転が終了している原発も廃止措置が完了するまで、変わらず貸借対照表に固定資産として計上される事を意味しています。

 しかし、運転が終了した原発は会計上資産計上しておくべきものでしょうか?

 日本の会計基準開発の指針となっている、「財務会計の概念フレームワーク」では、資産について次のように定義しています。

  • 資産とは、過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源をいう。
  • ここでいう支配とは、所有権の有無にかかわらず、報告主体が経済的資源を利用し、そこから生み 出される便益を享受できる状態をいう。
  • 経済的資源とは、キャッシュの獲得に貢献する便益の源泉をい い、実物財に限らず、金融資産及びそれらとの同等物を含む。経済資源は市場での処分可能性を有する 場合もあれば、そうでない場合もある。

  と定義しています。運転を停止した原発は果たして「キャッシュの獲得に貢献する便益の源泉」と言えるでしょうか?

 この会計処理方法について「公認会計士VS特捜検察」などの著書で有名な公認会計士の細野祐二氏は、「原発による不良資産を隠蔽する虚妄の廃炉会計」と表現しています。つまり、

電力会社の財務諸表には、資産性のない巨額の廃炉原発設備が、立派な資産として貸借対照表に計上され、使ってもいなければ使うあてさえない廃炉原発設備の減価償却費用が、厚かましくも、営業費用として損益計算書に計上されることになる

 だというのです。

 

この特殊な会計処理、皆さんはどう考えますか?