Octopus's Garden

半歩先の生き方・働き方を考えるブログです。

監査は着服を見抜けるか?

先日、北越紀州製紙の着服の話題を取り上げましたが、
今回のようなケースで
監査法人が不正に気づくののはかなり難しかったと思っています。

今回の不正の肝は、帳簿外の借入です。会社に対しては、「解約した」と伝えてある当座貸越契約を、一従業員が私物化していたというのが大まかな事件の経緯です。
一般に、ないことの証明は、「悪魔の証明」などと言われ、非常に難しいと言われています。
監査手続きにおいても、何かが「あること」を検証するのは比較的簡単ですが、何かが「ないこと」を検証するのは非常に困難なことになります。

今回のケースでは、帳簿外の借入金を行った銀行との取引も数年前から解約したことになっていました。そのため、借入金に対する監査手続きの一つである、銀行確認状の送付も、この銀行に対しては通常行われません。

さらに、不正が子会社で行われていたことも、事件の発覚が遅くなった原因の一つと考えられます。
調査報告書を見る限り、事件が起こった子会社の内部統制はかなりずさんなものだったと思います。
親会社がこのような体制であれば、監査法人からは内部統制に対する指摘があり、事件は起こらなかったでしょうし、起こっていても早期に発覚したはずです。
ところが、内部統制監査制度では、重要な拠点を中心に監査を行うため、子会社でのこのようなずさんな内部統制を、監査法人が発見することができなかったのでしょう。

今回のケースについて、監査法人が不正を見抜くことは、不可能に近かったと思いますし、監査法人に責任の一端を担わせるのは、酷ではないかと思います。

今回のケースに限らず、監査には限界があり、すべての不正を発見することは不可能なのです。