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見積もりの変更・見積の誤りと不適切会計

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photo by stick_kim

東芝の不適切会計が世間を騒がせていますね。

この「不適切会計」が発覚した当初は、工事進行基準という会計基準による会計処理によるものとされていました。

 

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会計と見積り

会計というのは、決算日の時点での不確定な要素を見積って金額を算定するという部分があり、「工事進行基準」という会計基準における売上、利益の算定も見積に大きく依存しています

「会計上の見積り」とは、資産及び負債や収益及び費用等の額に不確実性がある場合において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出することをいう。

「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準

工事進行基準も含め、見積を用いる会計処理は、一旦、決算日の時点で見積もりを行い、決算数字として期末の貸借対照表に反映させますが、金額が、100%未来の情報と一致するわけわなく、当然差異が生じることになります
今回の東芝のケースも、この「見積もりと実績の差」だと思っている方が多かったようなのですが、これはちょっと違います。会計にある程度明るい人でも誤解しているところがあるのではないかと思うので、今日はその辺について書こうと思います。

見積りの変更

通常、見積りがちゃんと行われていれば、「見積と実績の差」は、会計上は「見積の変更」として扱われます。

「見積もりの変更」は、見積もりをした時点では、正しい情報に基づいた見積もりをしていて、結果的に誤ったという場合に行います。このような場合、実績が確定した時の損益に含めることになり、過去の修正をする必要はありません。

過去の見積りの方法がその見積りの時点で合理的なものであり、それ以降の見積りの変更も合理的な方法に基づく場合、当該変更は過去の誤謬の訂正には該当しない。

「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針」

見積の誤り

一方で、見積もりが誤りだったという場合というのは、そもそも見積もりの前提が誤っていたという場合をいいます。これが今回の東芝のケースです。このような場合には、見積もりを行った期にさかのぼって決算を修正する必要があります。

一方、過去に定めた耐用年数が*1その時点での合理的な見積りに基づくものでなく、これを事後的に合理的な見積りに基づいたものに変更する場合には、過去の誤謬*2の訂正に該当する。

「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針」

見積もりの誤りは、見積もりをした時点でわかっていたことを考慮していなかったり、逆に、誤った情報に基づいて見積りをしているような場合があります。

見積の変更と見積の誤りの違い

前者と後者の違いは、簡単にいうと、前者が「最大限努力して見積もったけど、結果的に間違ってました」なのに対して、後者は「なんとなく、それっぽく見積もってみたけど、やっぱり実績とはあわないよね。あっ、この数字入れ忘れてたわw」というイメージです。

この2つを区別するのは、なかなか難しいところがありますが、見積の差がどちらに起因するものなのかを分析することで見極める事ができます。

今回の東芝のケースでは、単に「正しく会計処理したけど、見積と実績で差異が出てしまった」というわけではなく、「見積の方法そのものが誤っていて、会計のルールを逸脱した会計処理が行われていた」というほうが正しい理解となります。

 

過年度遡及処理の会計・法務・税務

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*1:この基準では、例として有形固定資産の耐用年数の見積りを挙げています

*2:財務諸表の誤りのことです