Octopus's Garden

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トーマツCEOとクライアントとの「不適切な関係」

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photo by latitudes-flickr

最近、会計・監査業界の「不適切な」事件が続いていますね。

何やら、大手監査法人トーマツのCEOが、クライアントと不適切な関係にあったようで、今週、突然辞任を表明しました。

 

www.nikkei.com

理由は明らかにされていませんが、この翌日、日経にこんなニュースが取り上げられていて、

トーマツが監査する三菱UFJフィナンシャル・グループの開示情報によると、トーマツ幹部の三菱東京UFJ銀行の預金残高が1千万円を超えている時期があったという。個人名は記されていないが天野氏とみられる。三菱UFJニューヨーク証券取引所に上場し、米SECに登録している。米SECでは会計監査の独立性を保つために、監査法人の幹部などが監査先の銀行口座に、一定水準を超す金額を預けないように求めている。

これが原因で辞任したと思われます。 

では、なぜ、クライアントの銀行に預金を持っていることが問題だったのか、業界の外の人にはちょっと分かりづらい気がします。

なぜ今回、トーマツのCEOが辞任したのか?それを理解するには「監査人の独立性」について理解する必要があります。

会社から報酬をもらう監査法人

監査法人に支払われる監査報酬は、国でも証券市場でもなく、監査を受ける会社から払われます。

会社が監査法人・会計士に報酬を払うのは、簡単に言うと、「会社は会計士の監査(=監査証明)のおかげで、市場で生きているわけだから、会計士にお金を払うのは当然」という理屈です。

しかし、一般社会から見ると、「監査法人・会計士は本当にクライアントと白く清い交際をしているの?お金をクライアントからもらってるんだから、黒い交際をしてるんじゃないの!!!?」なんて疑念をもたれても不思議ではありません。

こうせいふへんのたいど

そのような疑念を払拭するために、クライアントからお金もらっている監査法人・会計士が、クライアントと白く清い交際をするために、公正普遍の態度((会社からお金もらっているからって、会社に有利な意見を出さないように、常に鉄の心を持って客観的な目で監査をする))を徹底的に保持する様に、色々な規定が監査基準・公認会計士法や職業倫理等で決まっています。

特に、公認会計士法や職業倫理、SECの規則では、クライアントとの関係について報酬・独立性・贈答・接待等、その他付き合い方なども細かく、規制されています。

これに違反すると、クライアントとの「不適切な関係」が疑われてしまうわけです。

今回、報道があった、銀行との預金取引もその一つです。

預金取引が規制される理由

それでも、クライアントの銀行に預けること自体は禁止されていません。
監査法人にとって、監査報酬をくれるお客さんですので、CEOがお付き合いとして、口座をもっておくのは、ある意味
当然ではないかと思います。
ところが、銀行といえども、破綻するリスクはゼロではありませんから、内部事情を知りうる立場の監査人が一定金額以上の金額を預けるのは不公平、ということで禁止されています。
おそらく、給与振り込みの口座とかにしておいて、金額が増えると定期的に他行の口座に移していたんでしょうが、今回は、ついうっかりやり忘れた、というところでしょうか。
ついうっかりでは済まされないことですけどね。

なぜ発覚したのか?

監査法人では、職員がクライアントと「不適切な関係」にないかどうか確かめるために、年に1、2回全従業員に独立性に関するチェックリストを提出することを義務付けています。
おそらく、このチェックリストをやっている時に気がついて、「やっべ!」てなったのだと想像します。

増える規制

昔は、今みたいに、詳細には規定されていなくって、監査基準、「監査人は監査を行うにあたって、常に公正普遍の態度を保持し、独立の立場を損なう利害や、独立の立場に疑いを招く外観を有してはならない星」と、規定されているノミだったんです。

でも、20世紀の終わり頃に生じた、アメリカのエンロン事件や日本のカネボウの事件以来、一般社会の人々から、監査法人・会計士に対する疑念が高まったみたいで、その疑念を払拭するために、色々な細かい職業倫理が細かく規定されるようになってしまいました。

最近は、本当に、監査法人・会計士の独立性が叫ばれる様になって、どんどん会計士が遵守すべき規定がどんどん、増えていってるんですよね。

会計士・監査法人の古き良き時代では、大手監査法人には、お昼ご飯とかをクライアントにおごってもらっていたり、また、クライアントとの飲み会でも、基本的には、クライアント持ちだったらしいです。

で、21世紀になって、アメリカのエンロン事件や日本のカネボウの事件以来、一般社会の人々から、監査法人・会計士に対する疑念が高まったみたいで、その疑念を払拭するために、色々な細かい職業倫理が細かく規定されるようになって、その時代の流れから、大手監査法人でも、社内で、基本的には、クライアントにおごってもらうのが禁止とかになりました。

つまり、監査法人・会計士がクライアントとの白く清い交際を、より厳密にするため、また、一般社会から、「あれ?黒く清くない交際をしているんじゃないはてなマーク」と少しでも誤解を招くような、監査法人・会計士の行動は、細かく規制されるようになりました。

監査法人の世界は、そんな感じでクライアントとの付き合い方が細か〜く規制されているので、今回のように、小さいとはいえ、CEOという責任のある立場の人がルール違反をおかした場合、辞任するというのもやむなしなのかなと思います。

 

 

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