Octopus's Garden

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会計士協会の緊急全国研修(公認会計士監査の信頼回復に向けて)

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photo by İzmir SGK

本日、「公認会計士監査の信頼回復に向けて」というタイトルの公認会計士協会の緊急全国研修を受講してきました。

内容としては、東芝を始めとして会計不祥事が相次いぎ起きている中で、どうやって監査の信頼性を回復していくかということがテーマです。

私自身はもう2年近く監査から離れていますし、これからもしばらくは監査をやるつもりは無いんですが、公認会計士という資格で生きている以上、他人事ではないなと思ったので参加してみました。

「緊急全国集会」というくらいですから、やはり公認会計士協会としてもかなりの危機感を感じていることがわかります。

全国30箇所同時中継で、どの会場も満員だったそうです(東京会場はすぐに定員にたっしてしまったので、急遽第2会場を用意していました)。

研修には、日本公認会計士協会の森公高会長みずからが講師として登壇し、公認会計士協会としての取り組みを紹介した後、泉本小夜子さんからは「会長通牒」と「監査提言集(特別版)」の解説をしてくれました。

www.hp.jicpa.or.jp

会長通牒は、

 

監査人は、資本市場の健全な発展に寄与すべく、監査の実施に当たっては厳正な態度で臨まなければならない。昨今の度重なる会計不祥事は監査の信頼を揺るがすものであり、公認会計士監査の信頼回復のため、会員各位には下記の点について特に留意し、真摯に監査業務に取り組むことを強く要請する。

 

 とかなり強い口調で始まり、具体的に特に徹底すべき事項として、以下の7つの事項を説明しています。

  1. リスクアプローチに基づく監査
  2. 職業専門家としての懐疑心
  3. 経営者による内部統制を無効化するリスク
  4. 会計上の見積の監査
  5. 監査チーム内の情報共有
  6. 審査
  7. 監査時間・期間の確保

これらの事項は、これまでも監査の実務指針である監査基準委員報告や監査基準でも求められていて、特段新しい話ではありませんが、特に留意すべき事項として(つまり、多くの監査人が徹底できていない)こととして注意を促しています。

 

印象的だったのは、7つ目の「監査時間・期間の確保」ですね。これまで、監査での不正への対応という文脈で余り議論に上がってきませんでしたが、ちゃんと監査をやるためには、非常に大事な要素ですね。

 

もう一つ印象的だったのは、監査提言集でも「職業的懐疑心」が繰り返し強調されていたことですね。特に、「思いこみ」が職業的懐疑心を曇らせるという話は、自分自身が監査人だったころを思い直して反省すべきところが多々あるなと思いました。
「この会社は優良な会社だから大丈夫」

「オレはこの会社を理解している」

「この会社のことは、(同じ監査チームの)あの人にまかせておけば大丈夫」

といった思い込みは、監査での判断を誤らせる要因になります。

長年、同じ会社を監査していたりすると、「思いこみ」を排除するのって難しくなってきますが、曇りのない目で見なければ、監査は成り立ちませんよね

 

あとは、監査人の力量不足とか、会社に対して強い態度で望めとか、昔監査に携わっていた人間としては耳の痛い言葉の数々…

 

監査って、きちんとやろうとすると、ホント難しいですね。

 

ちなみに、今回の「会長通牒」と「監査提言集(特別版)」は監査論的にも大事な論点が詰まっているので、会計士試験の受験生も、一読しておくといいかもしれませんね。