Octopus's Garden

半歩先の生き方・働き方を考えるブログです。

トーマツはどうしてAppBankの横領を発見できなかったのか?

Appbankが、上場直後に社員の横領が発覚して話題になりましたね。
その後も、暴力団との関係がどうのこうので未だにもめているようです。

暴力団の件はひとまず置いておいて、事件を時系列で整理すると、以下の通りです。

  • 2013年3月~2015年8月 経理担当役員による横領
  • 2015年10月 東証マザーズ上場
  • 2015年11月 税務調査にて、元役員の不正が発覚
このニュースを見て疑問に思ったのは、監査をしていたトーマツは、なぜ従業員の横領に気付けなかったのか?という点です。
同じ社員の横領でも、大手の総合商社の子会社とかであれば、そもそも監査のスコープに入っていなかったということはあるかもしれません。
しかし、Appbankの規模で1億4千万は、年間利益の1/4程度にはなるわけで、しかも本体の経理という、思いっきり監査対象となる部署での横領なので、監査で発見できても良さそうなのにと思いました。

疑問を解消するために、調査報告書を読んでみました。

調査報告書に横領のスキームをまとめた図があったので、転載させていただきます。
f:id:takkuya84:20160210235122p:image
簡単に言うと、以下の通りです。
  1. 自社開発のアプリなのに、外注費がかかっているように偽装して、協力者と自分が所有する会社の口座に振り込む
  2. 会計システムへの登録についても、横領した分は外注費として仕訳を登録する。
  3. 協力者から手数料5%を差し引いた金額を受け取る。
横領の手口としては、古典的かつ単純な手口です。

株式上場のために行われる財務諸表監査には、当然、内部統制の監査も含まれます。
正直言って、内部統制の監査をしていればこの程度の不正は見つけられそうなものだと思います。
しかも、自社開発のアプリであるにもかかわらず、外注費がかかっているということについても、おかしいと思うべきでしょう*1

調査報告書を見た限りでは、残念ながら、監査に問題がなかったと結論付けるのは難しそうな気がします。

そのうち、会計士協会の懲戒事例に上がってきそうな案件ですね。

*1:もっとも、経営者にしても、上がってきた数字を見ておかしいと気づくべきだったとも言えます